カップ麺が体に悪いであろうと疑念を抱かれる理由
カップラーメンなどのカップ麺は種類も豊富で、コンビニ・スーパーマーケット・ドラッグストアの他、ネット通販などでも購入でき、何よりお手軽においしく食べられる食品の代表の一つであるという事実は間違いないでしょう。
カップ麺・袋麺・生タイプを含めたインスタントラーメンの日本での1人当たりの年間消費量は45.2食(2018年度 日本即席食品工業協会による)ということで、それこそ『国民食』と言っても過言ではない感じです。
ただ、「カップ麺は体に悪い」といった考えや印象を持たれている人がいるのも事実で、
- できる限りは食べないようにしている。
- 食べても月に数回程度…
なんて感じの人が家族や友人、知り合いなど身近な人にいるんではないかと思います。
では、そのように「カップ麺は体に悪い」といった感想をお持ちの方や危険性・弊害を訴える人は具体的にどんな点を理由に挙げられるのかをピックアップし、本当なのか嘘なのか?実際のところはどうなのか?を考察してみます。
カップ麺のカロリー
インスタントラーメンにはそれこそ多くの種類があるので、カロリー数が高いものもあれば低カロリーを売りにしている商品もあります。
ちなみに一般的な普通サイズのカップ麺であれば大体300~500kcalぐらいが平均的なカロリー数なんで、予備知識が全くない人が何となく想像するような驚くほどの高カロリーというワケではないです。
日清の『カップヌードル』が1食(78g)当たり351kcalで、サトウのごはんの定番商品『新潟県産コシヒカリ』(200g)1パック分が294kcalなので、約60kcalほどの差です。
同じサトウのごはんで容量が60gだけ多い『かる~く二膳』(260g)だと1パック分が369kcalということで、スープを飲んで完食しても日清カップヌードルの方が低カロリーということになります。もちろん塩分に関してはひとまず置いといてという前提で…。
また、先に書いたように低カロリーを売りにした商品も色々と販売されており、例えば日清の『カップカップヌードル コッテリーナイス・濃厚!ポークしょうゆヌードル』は1食(57g)当たり176kcalとカロリーを低く抑えており、コンビニおにぎり(鮭や昆布などの一般的な定番商品)1個あたりのカロリー数とほぼ同じ数値です。
カップ麺の脂質
カップ麺の脂質もカロリーと同じで多く摂り過ぎてしまうイメージがあります。
日清の『カップヌードル』1食(78g)当たりの脂質は14.6gで、カルビーの『ポテトチップス うすしお』1袋(60g)当たりの脂質が21.6gなので、7g少ないです。
また、吉野家の牛丼(並盛)1個当たりの脂質が20.4g、マクドナルドの『てりやきマックバーガー』1個当たりの脂質が30.2gということで、カップヌードルに関してとなりますが脂質は想像するほど高いわけではないようです。
ノンフライ麺は脂質が少ない
ちなみに、『日清ラ王 背脂コク醤油』1食(115g)当たりの脂質が14.6gということで『カップヌードル』と同じ脂質量なのです。
なんとなく意外に思う人もいるかもしれませんが、日清ラ王はノンフライ麺を使用しているからです。
ノンフライ麺は油で揚げずに熱風で乾燥させて作られており、脂質は従来の油揚げめんの4分の1くらいの量になっているそうです。
同じようにノンフライ麺を使った『カップヌードル ナイス』シリーズは通常のカップヌードルよりもコッテリ濃厚な味わいなのに脂質が少ないです。
日清の『カップヌードル コッテリーナイス 濃厚! ポークしょうゆ』1食(57g)当たりの脂質は6.8gで、通常のカップヌードル1食(78g)当たりの脂質が14.6gということは半分以下の量です。
カップ麺の糖質
インスタントラーメンは体に悪そうというイメージを持ってる人が挙げる要因としてはカロリー・脂質、この後の項目で取り上げる塩分・添加物ほどではないものの、ここ数年前からダイエットの食事法として【糖質制限】が話題になることが多いこともあり、カップ麺に含まれる糖質を気にする人も増加傾向にあるようです。
そういった背景があるからか近頃は【糖質オフ】を売りにしたインスタントラーメンもいろいろと市販されています。
先の『カップ麺の脂質』の項目で取り上げた日清の『カップヌードル ナイス』シリーズは脂質だけでなく、糖質の量もかなり低く抑えています。
日清の『カップヌードル コッテリーナイス 濃厚!ポークしょうゆ』1食(57g)当たりの糖質は17.8gで、通常のカップヌードルより50%オフを実現しています。
ちなみに、白飯のお茶碗1杯(150g)当たりの糖質は55.2g、食パン6枚切りの1枚(60g)当たりの糖質は26.6gであることを考慮すると、通常のカップヌードルに含まれる糖質の量でも多いように思えません。
カップ麺の塩分
カップ麺に対する健康への影響に関して懸念を抱く項目の中でも、塩分含有量の多さから過剰摂取を指摘する人は多いと思います。
塩分の摂りすぎは高血圧を引き起こして動脈硬化となり、脳卒中や心筋梗塞、腎障害などの疾患リスクが高くなります。
「スープを残せば塩分摂取量は抑えられる」
と言うことを健康面に配慮してのアドバイスとして見聞きしたこともあると思います。
これはカップ麺をはじめインスタントラーメンに含有されている塩分量は商品によって差があるものの、全般的に言えるのは麺とかやくよりもスープに含まれる塩分量の方が多い商品がほとんどということです。
例えば、日清のどん兵衛きつねうどん(東日本用)に含まれている塩分は食塩相当量で、
- めん・かやく:1.6g
- スープ:3.5g
他にも、マルちゃん正麺カップ(芳醇こく醤油)に含まれている塩分は食塩相当量で、
- めん・かやく:1.9g
- スープ:4.5g
というように、スープの方が多く塩分量を含んでいるので、全て飲まないのは無理かもしれませんが意識して残すようにすれば、塩分摂取量をそこそこに抑えることも可能だと思います。
ちなみに、
厚生労働省による成人の1日あたりの食塩摂取量(食塩相当量)目標値は、
- 男性・・・8g未満
- 女性・・・7g未満
2020年に改定が検討されている新たな目標値は0.5グラム減となり、
- 男性・・・7.5g未満
- 女性・・・6.5g未満
他にも、
- WHO(世界保健機関)の目標値は5グラム未満
- 日本高血圧学会の推奨値は6グラム未満
といった1日あたりの塩分摂取量の推奨値を考えると、スープを全部飲み干して完食してしまうことは健康的にかなり厳しいというのは事実であろうと思います。
カップ麺の添加物
カップ麺に限らず加工食品のほとんどに含まれる添加物に関しては、
「全ての食品添加物に危険性があるわけではないが、成分によっては健康的に毒となる可能性がある!」
というジャーナリストの人もいれば、
「健康的に問題となるほどの量は入っていない!」
という専門家の人もいるなど、正に賛否両論というところです。
食品添加物に対する議論(危険説vs安全説)
「食品添加物は危ない!」とその危険性を指摘する内容が書かれたものは書籍の他、週刊誌なんかでちょくちょく目にしますしネット上でも見かけます。
例えば、週刊誌に載っていた危険な添加物を扱った記事では、カップラーメンなどの麺類、パン、焼肉のたれ、とんかつソースなどに使用される【加工でんぷん】について、下記のような注意点をあげています。
11種類の物質があるが、「加工でんぷん」と簡略化して表記される。遺伝毒性発がん性物質の疑いのあるプロピレンオキシドが残存している物質を使用している場合もある。品質や不純物の基準が法令で整備されておらず、安全性に疑問符がつく
「週刊現代」2016年12月24日号より
一方で食品添加物の安全性を訴えている記事は危険性を指摘する記事よりも少ないですが時折見かけます。
そのような記事では“食品添加物=危険”を声高に叫ぶ人に対して「恐怖を煽っているだけで、食品添加の毒性を示す明確なデータを示していない」と論破している場合がほとんどです。
このあたりの事については下記の記事にわかりやすく書かれているので、興味のある方は一読されてみてはいかがかと思います。
参考文献:Business Journal|「食品添加物は危険」ブームのまやかし 毒性を示す明確なデータなし
私見としては、上記で紹介した記事中にある
「100%安全とはいえないが、有害である根拠もほとんどない」というのが結論です。
Business Journal|「食品添加物は危険」ブームのまやかし 毒性を示す明確なデータなし
という考えに賛同しますし、そもそも食品添加物は何もカップ麺だけに含まれているのではなく、現代の生活においてはもはや切り離せない加工食品全般に使用されている訳ですから…
というのを踏まえて後は個々で判断するしかないと思います。
インスタントラーメンのJAS製品
なお、即席食品をとおして人々の食の安全と安心の確立を目指すことを目的とする一般社団法人『日本即席食品工業協会』は、カップ麺に含まれている添加物の安全性に関して次のように明示しています。
JASマークのついたインスタントラーメンに使用できる食品添加物は、食品衛生法によって安全性の確認されているものの中から登録認定機関が認めているものに限定されています。
引用:一般社団法人 日本即席食品工業協会
ちなみに、JASは【日本農林規格】のことで、国内市場に出回る食品・農林水産品の品質や仕様を一定の範囲・水準に揃えるための品質保証の規格です。
市販されているインスタントラーメン(カップ麺・袋麺・生タイプを含めた即席麺)全体のうち約8割がJAS製品であり、有名どころの食品メーカーが販売している商品はほぼほぼJAS製品と言えそうです。